前立腺は、男性に特有の臓器で、膀胱の出口にある尿道をドーナツ状に取り囲んでいます。正常な前立腺の大きさは小粒のイチゴ大(15~20ml程度)です。しかし、年齢とともに前立腺は大きくなり、キウイフルーツやアボカドのような大きさに肥大することがあります。
この肥大した前立腺が尿道を圧迫するため、尿の通り道が狭くなります。その結果、初期段階では膀胱が過剰に刺激され、頻尿(頻繁にトイレに行く)や夜間頻尿(夜中に何度もトイレに起きる)、残尿感がある、などの蓄尿症状が出現します。また、尿がスムーズに出ない、勢いが弱いなどの排尿症状が現れます。さらに、肥大が進行して長年にわたり慢性的に尿が出にくい状態が続くと、膀胱の弱い部分に憩室を作ったり、尿が全く出なくなり溢流性尿失禁(尿があふれ出る)を生じたり、腎臓の機能障害や尿路感染、膀胱結石を生じたりすることがあります。
<尿流測定>
通常であれば排尿時間20~30秒程度、尿の勢いを表すと「釣り鐘」形になることが多いですが、前立腺肥大症患者の場合、排尿に時間がかかり、勢いも弱い状態が続くことになります。